国内に現存している櫓の中で最大といえば、熊本城の宇土櫓です。建物部の高さは実に19メートルにもなり、現存12天守の中でこれを上回るのは姫路城、松本城、松江城だけです。三重五階地下一階の堂々とした風格で、他の城なら天守として十分に通用するでしょうが、天下に名高い熊本城にあっては、天守、小天守に次ぐ三番手に甘んじています。小西行長が築いた宇土城の天守を移築したという説がありましたが、昭和初期の解体修理でその痕跡が見つからなかったことから、現在では否定的です。