国語の教科書でもお馴染の大作家・芥川龍之介は、東京帝国大学在学中の1915年の夏、失恋の傷を癒すべく、友人の招きを受けて松江に約半月滞在しました。この時の経験や思いを『松江印象記』という文章で綴っています。松江城についての記述もありますが、松江城を称えるというよりは、松江城を利用して国内の城や古い芸術品を簡単に破壊してしまう当時の風潮を理屈っぽく批判しているという印象ですね。ちなみに芥川の出世作『羅生門』が発表されるのは、この三か月後のことです。