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血塗られたお膝元! 江戸城で起こった刃傷事件をおそるおそる解説します


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どうも! サイト管理人の犬彦です。

江戸城といえば、江戸時代の政治の中心であり、また将軍様の住まいでもありました。当然ながら警戒は厳重で、大名でも携帯できる刃物は脇差のみで、抜刀など以ての外でした。にも関わらず、城内で七回も刃傷事件が発生しています。今回はそんな江戸城のアウトローぶりを解説してゆきます。

惨劇のきっかけは春日局


江戸城最初の刃傷事件は1628年のこと。

御目付役の豊島信滿は仲人として、老中井上正就の長男と大坂町奉行島田直時の娘との縁談をとりまとめていました。 しかしそこに大いなる権勢を誇る春日局の横槍が。 正就の長男に山形藩主鳥居忠政の娘との結婚が持ちかけられます。 正就は拒否できず、島田家との縁談はなかったことに。

面目丸潰れの信滿は正就に恨みを募らせ、遂には江戸城西の丸で斬殺するに至ります。 そし信滿も腹を刺して自害。 その脇差は背中から突き抜け、背後から止めに入った青木義精まで刺し殺しました。 凄まじい……。

名老中は暗殺されたのか


「天和の治」と称えられるほどの高い政治手腕を発揮した老中・堀田正俊も1684年、刃傷事件の犠牲者になりました。

犯人は若年寄の稲葉正休。 琵琶湖から瀬戸内海に流れる淀川の治水工事の下検分を彼が行った際、費用を不必要に高く見積もっていたことが、正俊によって露見していました。

しかしこの刃傷事件には不審点があるのも事実。 何しろ犯人の正休もその場で他の老中達によって斬殺されているのです。 なぜ捕まえて尋問しようとしなかったのか。 当時の将軍・徳川綱吉が邪魔になった正俊の暗殺を裏で操ったという説も。

日本一有名な刃傷沙汰


1701年、江戸城本丸御殿・松の廊下にて、赤穂藩主・浅野長矩が幕臣・吉良義央に斬りかかって怪我を負わせるという事件が起こりました。 そうです。日本人ならみんな大好き『忠臣蔵』の元ネタ、赤穂事件の発端となった、あの事件です。

長矩を取り押さえた旗本・梶川頼照の日記によると、長矩には義央への強い恨みがあったことが窺えます。 ドラマなどで義央が長矩をいじめる様子がよく描かれていますが、実際に義央が長矩に対しどのように接していたかまではわかっていません。

思い込んで凶行に及ぶ


浅野長矩の一件から24年が経った1725年、松の廊下で再び刃傷沙汰が起こりました。 松本藩主・水野忠恒が長州藩の毛利師就に斬りかかったのです。 師就は負傷したものの、幸い命に別状はありませんでした。

さて、そもそも忠恒が松本から江戸に赴いたのは、自身の結婚を将軍に報告するためです。 幸せ絶頂なはずなのになぜ?  忠恒いわく、自分の領地が取り上げられ毛利に与えられると思い込んだとのこと。 幕府にそんなつもりはなかったのですが、結局忠恒は、その思い込みのせいで本当に領地を取り上げられてしまいました。

悲運、人違いで殺される


1747年、熊本藩主・細川宗孝が江戸城内にて斬殺されました。

犯人の旗本・板倉勝該は正直かなりヤバい奴で、コイツではダメだと本家筋の板倉勝清が引退させようとしていました。 それを知った勝該が江戸城で勝清をブッ殺そうと待ち構えていましたが、その時板倉家と似た家紋の細川家の当主がたまたま現れました。 つまり宗孝は人違いで殺されたのです。

宗孝には世継ぎがいませんでしたが、たまたま事件に居合わせた仙台藩主・伊達宗村の機転もあって、うまくごまかして養子を立てることに成功。 細川家は断絶を免れました。

ワイロ老中の子が犠牲に


ワイロでお馴染、十代将軍家治時代の老中・田沼意次。 その嫡男の意知が1784年に江戸城内で斬られ、8日後に死んでしまいました。

犯人は佐野政言という旗本で、意知の死後に切腹しています。 そんな彼は庶民から「世直し大明神」として称えられ、彼の墓がある徳本寺には多くの参拝者が集まったとか。 田沼親子の嫌われっぷりがよく窺えます。

さて政言が刃傷に及んだ動機ですが、思い当たる節はいろいろとあるようですが、幕府が「乱心」で片づけたこともあり、結局解明されていません。

いじめが招いた大惨事


「千代田の刃傷」として知られる最後の江戸城刃傷事件は、いろいろと酷いです。

西の丸書院番の松平忠寛(通称は外記)は、先輩達の度重なるいじめに耐えきれず、1823年、遂にブチ切れて先輩達に刃物をブンブン振り回しました。 結果、3名の先輩が即死、1名が重傷で後日死亡、忠寛はその場で自害、計5名が命を落とすという大惨事に。

これはまずいと思った忠寛の上司は事件を隠蔽しようといろいろと工作しますが、忠寛が大奥にいる伯母に遺書を残していたことで、あっさりバレます。 いじめやら隠蔽やら、人の組織はいつの世も変わらずです。

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いやぁ、平和な江戸時代といえど、武士の皆さん、結構荒ぶっていますね。やはり短気はいけませんね。心穏やかに生きたいものです。

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