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お城マニアでなければわからない用語の代表格、「破風」について解説します


このページを担当します香織です。

お城に馴染みのない人でも当サイトを楽しめるように、お城用語を解説するこのコーナー。今回のテーマは「破風(はふ)」です。まあ簡単に言えば、お城の屋根飾り、なのですが、調べてみるとなかなか厄介な代物でして。ということで今回の解説は「ざっくり」でいきたいと思います。

まずは基本、入母屋破風


タイトルイメージ

天守最上部の屋根ですが、独特の形状をしていますよね。 お城の他に寺社仏閣でも見られますし、地元名士の豪邸というイメージもあります。

この形状の屋根を「入母屋屋根」と言います。 寄棟屋根と切妻屋根を組み合わせたハイブリッド型で、日本では最も格式の高い屋根とされています。

入母屋屋根には必然的に、妻側に三角形の領域が形成されるのですが、これが「入母屋破風」と呼ばれています。 「破風板」「懸魚」「妻壁」が破風によくある要素ですが、何となく覚えておく程度でいいです。

入母屋そっくり、千鳥破風


タイトルイメージ

天守の起源は、櫓の入母屋屋根の上に物見台(望楼)を乗せたものと考えられています。 これにより入母屋は最上部だけにあるものではなくなり、「千鳥破風」と混同されがちになりました。

千鳥破風とは、切妻造りの飾り屋根を、屋根本体に取りつけた時に形成される三角形の破風のことです。 千鳥破風がふたつ並んだものは、「比翼千鳥破風」と呼ばれます。

入母屋破風は、飾り屋根の下端が屋根本体の隅棟とつながっていますが、千鳥破風はつながっていません。 図を見てもらうのが一番わかりやすいでしょう。

原点回帰? 切妻破風


タイトルイメージ

切妻造りの飾り屋根が、屋根本体に乗っているのはなく、屋根本体を分断するように軒先から突き抜けている場合、この飾り屋根の破風は「切妻破風」と呼ばれています。

切妻じゃないよ、唐破風


タイトルイメージ

飾り屋根が切妻造りではない唯一の破風が「唐破風」です。 底の浅い碗の断面を逆さにしたような形状です。 中国風の名前ですが、日本発祥の破風です。 屋根本体の湾曲した軒先にあるのが「軒唐破風」、本体屋根から独立した飾り屋根にあるのが「向唐破風」と呼ばれています。

で、結局、破風って何?


ここまで四種の破風を紹介しましたが、破風とは一体何のことなのか、と改めて問われると、正直困ってしまいます。

破風関連の用語には、資料によってその意味が異なるものがあります。 例えば、破風板の部分だけを破風とする資料もあります。 また妻壁ですが、妻側の壁の中で屋根に囲われた部分とする資料があれば、妻側の壁全体とする資料もあります。 そうすると、どの資料に拠るかによって、破風の解釈が大きく変わってしまうのです。

ではどうすればいいか。厳密さを求めないことです。破風イコール屋根飾り、お城を楽しむ分にはそれで問題ありません。

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上記の理由から、本当は破風の解説はしたくなかったのですが、非常に重要な用語でもありますので、取り上げないわけにはいきませんでした。とにかく細かく考えないのが一番です。